野球肘や野球肩は、特に投手や野球を頻繁に行う選手に多く見られます。野球肘は肘の内側や外側の靭帯や筋肉に負担がかかることが主な原因です。過度な投球や不適切なフォーム、投球時の反復運動による負荷が原因となるため、適切なフォームで投げることを意識し、過度な練習は控えることが重要です。

野球肘には大きく分けて2つのタイプがあります。1つ目は内側型野球肘で、内側側副靭帯の損傷によるものです。肘の内側に痛みが生じ、特に投球動作で負担がかかります。2つ目は外側型野球肘で、肘の外側の軟部組織や骨の損傷によるものです。肘の外側に痛みを感じ、投球のたびに症状が悪化する傾向があります。

野球肩は、主に肩関節や腱板に炎症や損傷が生じることで発生します。初期症状としては、投球時に肩が重く感じたり、だるさを覚えたり、投球後に鈍い痛みを感じることがありますが、休むと症状は軽減します。進行すると、ボールを投げるたびに鋭い痛みが走り、肩を上げる動作がつらくなり、可動域が狭くなります。また肩の力が入りにくくなり、ボールのスピードやコントロールが低下することもあります。

野球肘の初期症状は、肘の内側や外側に軽い違和感や疲労感があり、投球後に肘が張るような感覚がありますが、しばらくすると治まることが多いです。進行すると、投球時や投球後に鋭い痛みを感じ、肘の可動域が狭くなり、曲げ伸ばしがしづらくなります。また、肘が引っかかるような感覚が出たり、強く投げると痛みが悪化することもあります。

重症化すると、骨の変形や剥離骨折、靭帯断裂につながる場合があり、肘の曲げ伸ばしだけでも激痛が走ることがあります。最悪の場合は手術が必要になり、長期間のリハビリが求められることもあります。

野球肩や野球肘のリスクにはいくつかの要因があります。まず、身体の柔軟性不足です。肩や肘周りの筋肉・関節の柔軟性が低いと可動域が狭くなり、無理な動作が増えて怪我のリスクが高まります。

次に、筋力不足や筋力バランスの乱れです。肩や肘の安定性を保つ筋肉が弱いと、関節にかかる負担が大きくなります。また、練習後のクールダウンやケア不足も要因です。ストレッチやアイシング、マッサージを怠ると疲労が蓄積し炎症を起こしやすくなります。特に成長期の選手は、筋肉や関節がまだ発達途中のため、適切なケアが重要です。

さらに、急激な投球数の増加もリスクになります。投球数が急に増えたり、連投したりすると肘や肩に大きな負担がかかり、炎症が発生しやすくなります。成長期の選手は骨や関節が未成熟であるため、特に影響を受けやすいです。

最後に、投球フォームの問題も見逃せません。肘が下がる、体の開きが早い、リリースポイントが不安定などの無理なフォームは肩や肘に余計な負担をかけ、怪我のリスクを高めます。指導者によってアドバイスが異なることもあり、自分に合ったフォームを見つけるのが難しい場合もあります。

野球肩や野球肘を放置すると、症状は悪化し、より深刻な問題につながる可能性があります。初期段階では痛みや違和感が軽くても、適切な治療やケアを怠ると炎症が慢性化し、筋肉や靭帯、腱などの組織が損傷を受けやすくなります。具体的には、肩や肘の腱板損傷、靭帯損傷、関節炎などの障害が進行する恐れがあります。

さらに、痛みや不調が長期間続くことで投球フォームやプレーに悪影響が出て、他の部位への過剰負担がかかる場合もあります。その結果、身体全体のバランスが崩れ、手首や背中など他の部位にも問題が生じることがあります。最終的には、競技生活の長期休養や手術が必要になるケースに至ることもあります。

そのため、野球肩や野球肘では、早期の発見と適切な治療が非常に重要です。

野球肘や野球肩の施術方法としては、まず休息とアイシングが重要です。炎症を抑え、痛みを和らげるために患部を冷却し、過度な使用を避けます。その上で、投球フォームのチェックを行い、動作に問題があれば改善します。

手技療法やリハビリによって筋肉をほぐし、上半身のストレッチを行うことで肩や肘周りの柔軟性や筋力を回復させます。また、投球数の制限を設けることで再発を防ぎます。回復が難しい場合は医療機関での診察を受け、最適な治療を行うことが推奨されます。適切な治療と休息は非常に重要であり、家庭でできるセルフケアも指導しながら回復をサポートします。

野球肘や野球肩を改善するためには、いくつかのポイントに注意することが重要です。まず、投球や打撃などの動作が体に過度な負担をかけないよう、正しいフォームとテクニックを身につけることが基本です。

次に、柔軟性と筋力のバランスを整えることが大切です。肩や肘周りの筋肉を強化するとともに、柔軟性を高めるストレッチも行い、特に肩関節の可動域を広げることで負担を軽減します。

さらに、適度な休養とオーバーユースの防止も欠かせません。疲労がたまった状態での投球や練習は怪我の原因となるため、無理をせず休息を取ることが予防につながります。

最後に、アイシングやマッサージなどの定期的なケアを行い、肩や肘の回復を促進することも効果的です。